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    初めてNYでボーカルレッスンを受けた話。

    IWATA family’s

    2024/09/30 08:45

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    NYに来て3ヶ月が経った。

    相変わらず毎日疲れ切って布団に倒れ込む日々。英語の夢はまだ見てない。

    だけど、確かにNYで生きている実感が少しずつ湧いてきた。

     

    今日は、初めてNYでボーカルレッスンを受けた。

    先生は男性で、肌の色も私とは違う。

    だけど真っ直ぐに私を見て、私の歌を聞いてくれた。

    ソプラノかアルトか聞かれて、正直に「分からない」と答えた。お恥ずかしいことに、私は幼少期からミュージカルをやっているけど楽譜も読めないしピアノも弾けない。

    だけどただ一つわかっていたことは、ナチュラルボイスの音域が非常に狭いこと。

    歌に関して言うと、私の最初の挫折は10歳そこらのとき。子役の登竜門である、ミュージカル「アニー」のオーディションを、一度だけ受けたことがあった。でも私は、あの有名な「トゥモロー」を、全部ナチュラルボイスで歌うことができなかった。

    その時点で、アニーはオーディションに受かることが難しいのは知っていた。そして皮肉なことに、当時通っていたミュージカルスクールの同期だった女の子2人は、2人とも見事アニーのオーディションに合格した。仙台の小さいミュージカルスクールから、2人もアニーキャストが誕生したのだ。私は案の定、一次審査で落選したのだった。

    当時から、高い音をナチュラルに出せる人が本当に羨ましかった。ミュージカルは、歌が上手い人の方がメインキャストに選ばれやすい。だいたいダンススキルが求められるのはアンサンブルキャストの方が多いのが事実。それは分かっていたけれど、自分は歌の才能は無いから、ダンスで一番になるしかない。と、死ぬ気でダンスを頑張った。

     

    AKBに入っても、歌に対する苦手意識は拭えなかった。初めてAKB4812期生として劇場に立った時、「ロマンスかくれんぼ」と言うソロ曲をいただいた。ミュージカルの発声しかやったことがなかった私は、しっかりはっきり歌う癖が染み付いていて、何人かのファンの方に「演歌やってました?」と言われたのが印象に残っている。

    やってません。笑

     

    話を戻そう。とにかく私は、「自分は高い音が出ない」と思い込んでいた。先生がピアノで鳴らした音を声でなぞっていく。ハリポタが始まる前は日本でもボイストレーニングに通っていたが、もう2年はミュージカルナンバーを歌っていなかったので緊張したし、声も震えた。だけど先生が言った言葉は、私の予想と全く違った。

     

    「OK。あなたはソプラノだね。そんなに高い綺麗な声が出るなんて素晴らしい。」

     

    雷に撃たれたみたいだった。26年間も、自分は声が低いから、と学校の合唱でも毎回アルトを選んでいた。なんだよ、思い込みだったのかよ。

    確かに、Wickedの歌を歌う時も、エルファバよりグリンダの方が歌いやすい。エルファバはナチュラルボイスが強いから、大好きなDefing Gravityも私は全部歌えない。だけど大好きな曲。

    先生から、"あなたが一番好きな歌を歌って。"と言われたので、思い切ってDefing Gravityを歌ってみた。思ったよりも声が出て驚いた。苦手意識が消えた途端、自信が湧いてきた。

    「これのどこに問題を抱えているの?あなたにとってこの歌を歌い上げることは凄く簡単だよ。」

    昔、ミュージカルの公演中に喉を痛めて駆け込んだ声帯の病院で、主治医の先生から「あなたは元々声帯が短いから、どんなに努力しても高い声は出ないよ。」と言われたことがあった。

    え?私、これ歌えるの???

    一気に目の前が明るくなった気がした。

    練習して練習してトレーニングを重ねれば、私もあの曲が歌えるかもしれない。

     

    NYに来ていなかったら、一生私は自分の歌に自信を持てず、低い曲ばかり選んでいたかもしれない。自分の限界を自分で決めない。出来ない理由ばかり探さない。可能性は無限にあると言い聞かせる。改めて大事なことだなと思った。

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